足底筋膜炎・モートン病症例3「足指の付け根が痛くて歩きづらい」
患者
40歳代 女性 2017年4月来院
症状
3日前、幅の狭い靴を履いて通勤した。帰宅するころには左の中指・薬指の付け根付近に痛みを感じ、帰宅後に痛むところを押したら飛び上がるくらい痛かった。足の裏を自分で我慢しながら指圧したが、足を床につけると痛みは消えなかった。湿布を貼って寝たが翌朝も痛みは変わらず。
当院の症例ページを見て来院。
来院時も普段よく履く靴を履いてきたが痛みで歩きづらい。外反母趾が元々あり、履物には気を付けていた。
治療と経過
患部には熱や腫れは無いが、押してみると強い痛みがある。足の指を曲げ伸ばししてもらうと動くのは可能だが、痛みを伴う。足の裏の痛みは脹脛(ふくらはぎ)との関係が深いことから、脹脛を触診すると腓腹筋とヒラメ筋の境界付近(図の水色部分)を中心に硬さがあり、押してみると痛みもある。
地面に足を着けたとき、元々外反母趾があるため足の裏が地面を捉えにくくなっている、さらに幅の狭い靴を履くことで体重を本来は「面」で支えるところを「点」で支えることになり、その「点」が今回の痛みの部位となったと考えられる。姿勢を整えるため脹脛に負荷がかかり足底の痛みに繋がることから、脹脛の余分な緊張を緩めるために脹脛のツボ、承山に鍼をする。数分後、鍼を抜いて確認すると5割改善。
脹脛の硬さを確認すると患側の方がまだ硬いため、腰のツボ、患側のL2(0.5)に鍼をすると、健側(右)と同じ硬さになる。鍼を抜いて再度確認してもらうと8割改善、指を動かす、歩くが大幅に改善できた。患部を押すと2割程度の痛みが残る。
足の痛みのために歩き方が変わり腰・骨盤周りが硬くなっているので、腰の整体「腰痛パターン(3手)」、「骨盤廻し」で動きの調整を行う。
足の調整のため活法整体の「中足骨縦横の調整」「外反母趾の調整」を行う。
2診目(4日後):朝起きたとき痛みを感じるが、少しすると緩和される。歩きづらさは帰宅の時に感じるが治療前より良い。
脹脛(ふくらはぎ)の緊張はやや残っているので腰のL2(0.5L)に鍼治療をする。活法整体は「足底の調整」「中足骨縦横の調整」「熊手」を行う。
3診目(7日後):2診目以降、歩いているときの痛みは1度も気になることはなく、起床時に足を床に着けても違和感だけで痛みはない。
4診目(7日後):1週間、違和感も無く過ごせたとのことで治療は終了とする。
主に使用したツボ・整体
鍼治療:L2(0.5L)、承山(L)
活法整体:中足骨縦横の調整、外反母趾の調整、骨盤廻し、腰痛パターン(3手)
考察
今回は外反母趾の影響も考慮し、歩きにくさ(筋肉の動きの問題)、骨格上の問題にアプローチ範囲を絞った。痛みへのアプローチと同時に、外反母趾による歩行時の動きや立位時のアンバランスの改善を目指して行ったため、早期の改善、治療効果が持続できたと考える。