肩凝り・頚肩腕症候群症例4
患者
40代 女性 志木市 -2016年11月来院-
症状
むち打ち(首から肩にかけての痛み、右腕を挙げると肩の痛み)
2日前、通勤中に走っていたとき転倒し右手と膝を打った。当日は打撲の痛みだけだったが、翌日から首を動かすと右の首・肩に痛みがあり、触っても痛い。さらに今朝は右腕を挙げようとすると右の肩に痛みを感じる。
同時に治療した症状
膝の打撲の消炎鎮痛
治療と経過
転倒した際、瞬間的に頭の重みを支えたときの筋肉の緊張がその後も抜けきれず、動作に支障が起きている。その緊張は主に肩甲骨周辺、さらに手を着いたためにその根元である肩甲骨周囲の筋肉の緊張は増すと考える。
まずは触れると痛みが強いため、炎症反応が起きていると考え、手のツボに鍼治療を行うと、触れることができ、顔を右に向ける動き、腕を挙げるときの肩の痛みと頭を右に倒す際の痛みも半減している。また、膝の打撲の痛みは多少押しても平気な程度に改善。
足のツボに鍼をすると頭を右に倒す動きは改善。
肩の動きは腰のツボに鍼をすると挙げづらさと痛みは解消。
肩甲骨内側に痛みが残るので、仙骨のツボに鍼をするとほぼ解消。
首・肩の動きが大幅に改善したので1回目は終了。その後、2回目(2日後)も同様の治療を行うが、1回目の治療後に症状は1~2割まで改善できていたので、2回目の治療で終了とした。
主に使用したツボ
後谿(R)、陽輔(R)、志室(R)、膀胱兪(R)
考察
いわゆる鞭(むち)打ちと言われる症状。比較的発症から間もない段階で治療を行えたので、症状の範囲がほとんど移動したりせずに済んだ。今回着目すべきは肩甲骨。特に転倒する際に手を着いたことで肩甲骨に強い衝撃が加わったことで連動性が深い首への症状となった。さらには骨盤周辺にも影響が波及したと考えられ、腰・仙腸関節のツボで肩の動き、肩甲骨周辺の痛みの解消となった。
今回のような炎症性の痛みの強い患部へのアプローチは、直接触れることはできないので、関連性や連動性が深く且つ遠位のポイントから行うのが原則。鍼灸院で打撲の治療はあまり知られていないが、外傷による打撲の炎症にも鍼は著効ということを再認識できた。