顔面神経麻痺症例2
||患者:女性 50代 ||来院・通院間隔:2024年10月・週2回 ||来院回数:14回
症状と来院理由
来院の1カ月前、顔の異変を同僚に指摘された。口がゆがみ、瞼も重い状態であった。医療機関でベル麻痺と診断され、医療検査では異常は認められなかった。ステロイド薬が処方されたが、あまり効果を感じられず、処方終了後も症状は残った。
食事や歯磨き、会話などの日常動作に支障があり、営業職で直接顧客に会う業務を休んで別の仕事に代えてもらっている状況であった。発症の数日前から、普段は感じることのなかった首や肩に、苦しさを感じるほどの凝りが急に出現していた。
半年前に社内異動があり多忙が続いたが最近少し落ち着いてきたところだった。
施術と経過
初診時、患者と鏡を見ながら額のしわ寄せや口の動きを確認した。また触診で首から肩・背部にかけての筋緊張を確認した。手、肩、背中、足のツボに鍼をした。初回施術後、首から肩・背部にかけての硬さが緩和され、動きは目視では確認できないものの、力を入れる感覚が少しわかるようになったとのこと。
2回目以降は、多忙で睡眠も満足にとれていなかったことや腹部に何らかの違和感があったとのことから、全身的な緊張状態と腹部の違和感から自律神経の乱れも視野に入れ、それらの改善のカギとなる呼吸の正常化も含め施術を行った。3回目には睡眠が朝まで一度も起きずに寝られるようになり、腹の違和感も解消された。
その後、施術を重ねるごとに、6回目では麻痺している部分の動きの変化を家族からも目視できるようになり日常動作が改善されてきた。ただ、唇の「イー」と「ウー」の動きの改善には時間を要したが、営業職で直接人と会話するため、そこにこだわって施術を続けた。変化が乏しい期間もあったが、同じ方針で継続した。10回目頃には動きそのものが改善され、よく見なければわからないレベルになった。14回目で、最後までこだわった唇の動きも本人が納得するまでに改善された。
現在は月に1~2回のペースで健康管理を主目的に通院。
主に使用したツボ
合谷(L)、開魄(L)、四稜(L)、陰谷(LR)、渝谷(L)
考察
本症例では、顔面神経麻痺を直近の主訴とし、診察の結果、その根底に想定される自律神経の安定化を目的にし、鍼施術を行った。
初診では「動かす感覚」が起きたことは大きな成果だと感じた。しかし、薬が投与されていたがほとんど効果を発揮できないほど身体の回復力が低下していたと考えたため、顔面神経へのアプローチのみでは回復に時間がかかると判断し、2回目の診察で改めて方針を説明し本人も希望された。
2回目以降は、睡眠不足や腹部の違和感など全身的な緊張状態にも配慮し、施術を継続した。変化が乏しい期間もあったが、方針を維持することで、に動きが改善された。特に唇の動きの改善には時間を要したが、患者の職業上の必要性を考慮し、こだわって施術を続けた結果、14回目で本人が納得する状態まで改善された。顔面麻痺に対する鍼施術において、局所だけでなく全身状態にも配慮することの重要性が示唆された。
☆症例について
同じ病名や症状であっても効果には個人差があります。また、このページの症例は当院の経験であり、鍼灸の一般的な効果を意味するものではありません。











