
腰痛・坐骨神経痛症例4「椅子に座っていると足がしびれる」
患者
40代 女性 2015年12月来院
症状
1年前から椅子に長い時間座っていると、右足の指の付け根や脛(すね)の外側に痛みやしびれを感じる。特に足の指の付け根が強く感じる。デスクワークでほとんどの時間を座って仕事をしている。
整形外科や神経科は何軒も周ったが検査結果はいつも異常はなく、鎮痛剤やビタミン剤が投与されるがあまり効果を実感できない。最終的には手術を勧められているが何とかそれは避けたい。
症状は座っているときが主で、症状が強いときは寝ているときも感じることがある。ただ動いているときはあまり感じない。
治療と経過
座っているときに発症しやすいことから、まずは坐骨周辺に問題があることが多い。触診により髀関、外秩辺に強い筋緊張、圧痛が確認できた。また、足部のピンポイントでしびれ痛みがあり、患部の圧痛もある。腓腹筋(ふくらはぎ)の反応を探し、承山に圧痛・筋緊張がある。
施術当日は、仕事が休みで症状は比較的弱かったが、問診中、椅子に15分座っていてしびれと痛みが出ていた。ベッドに伏しても少し症状は残っていた。
はじめに、志室、承山、L2(0.5)に鍼をする。数分すると痛みはほぼ感じなくなり、しびれは弱くなる。ただ、髀関の緊張の緩みが今ひとつだったので、腰腿(2)にも鍼をすると緊張はさらに緩んだ。指の付け根の圧痛は健側と同等になったので鍼を抜き、全体のバランスを整えるため活法整体を行い、あとは実際に長時間座った状態を仕事のある日に確かめてもらう。
2回目(1週間後)
症状は出るにはでるが、以前のような我慢できないレベルではなくなった。同様の施術を行う。
3回目(1週間後)
足の痛みしびれを感じない日が2日ほどあった。少し腰が張る。
4回目(1週間後)
症状はかなり薄くなってきた。何も感じないことが増えた。
5回目(2週間後)
この週は残業が多く長時間座っていたせいか、いつもより症状を感じる。以前より悪化はしていない。
6回目(1週間後)
1週間近く症状を気にすることはなかった。感じることはあっても気になるほどではない。
7回目(2週間後)
出張で飛行機に8時間座り続けていたが、症状があったことを忘れるくらいだった。
症状がよい状態で落ち着いているので、終了とする。
(本人の希望で健康管理のため、2週に1回のペースで通院中)
鍼治療を行った主なツボ:志室(R)、承山(R)、L4(R)、空髎(R)、L2(o.5R)、腰海(R)
行った整体:腰痛3手、坐骨上げ、骨盤3点導引、骨曲げ
考察
大きなヒントとなったのは「座っていると痛み、しびれがある」である。どのような状況で症状が発現するのかを、丁寧に問診で聴くことで、症状の原因に素早くアプローチすることができた。この方は、症状が落ち着いた後も2週に1回のペースで通院していることもあってか、再発はしていない。