腰痛・坐骨神経痛症例3「寝返りしようとすると腰に激痛」
患者
30代 女性 2016年6月来院
症状
1か月前、立ったまま左手で低めのテーブルに物を置こうとしたとき、腰に「ゴリッ」と音がした。以前、ぎっくり腰を経験したときと似たような感触だったので嫌な予感がした。その日の晩、仰向けで寝ていて寝返りをしようとした瞬間、腰に激痛が走った。それ以降、毎晩同じように激痛で目覚める日が続いているため、安心して眠れない。
近くの整骨院では、「ぎっくり腰で腰の骨が捻じれている」と言われ、数回、電気治療とマッサージに通院したが回復が思わしくない。
歩くときに脚がちゃんと上がっていないのか、最近よくつまづく。
治療と経過
立った状態と仰向けで寝ている状態(ひざを立てて)で腰を患側(左)に捻ると患部が痛むことを確認。右に捻る際は左ほどではない。筋肉が伸ばされることよりも、筋肉が詰まる(縮む)方向で痛みが強くなることがわかる。そのことから患側の光明に鍼をする。数分後、鍼を抜きもう一度、仰向けの状態で寝返りしてらうと痛みは4割減る。動きは未だぎこちない。
寝返りをする行為は腰をひねるだけではなく、実際には少し腰を浮かせるながら行う。実際に仰向けで腰を少し浮かせてもらうと痛みが強くなる。そこで後谿に鍼をする。同様に抜鍼後、少し腰を浮かせると先ほどよりも楽になり、さらに寝返りを試すと先ほどよりスムーズにでき、痛みも少なくなる。
痛みは仙腸関節あたりに限定されてきたので、下腿内側のツボに鍼をすると、寝返りの動きとそれに伴う痛みは少し気になる程度になった。
2回目(5日後)
前回から寝返りした時の痛みがなくなり睡眠もとれた。ただ、朝、起き上がるときに臀部の辺りから太腿の外側にかけて鈍痛を感じる。前回と同じ内容に加えて
膝陽関に鍼、股関節抜きの整体を行う。膝を曲げて腰を浮かせてから起き上がるのが楽になる。
3回目(3日後)
起き上がるときの鈍痛は多少残る。歩いているとき、特に左足(患側)を挙げる際に腰・臀部に張りを感じる。仰向けから健側(左)に向こうとすると右の臀部の鈍痛を感じる。これまでと同様の内容と臀部の張りに対して腰部のツボに鍼をする。
鈍痛や張りは気にならない程度まで改善できたので、一旦これで経過を観てもらうことにする。
鍼治療を行った主なツボ:光明(L)、地機(L)、陰陵泉(L)、後谿(L)、中腰(L)、腰海
行った整体:腰痛パターン3手、大腰筋導引
考察
問診の際、発症に至った実際の動きや寝返りを再現していただいた。どれくらい腰を屈めたのか、腕を伸ばしていたのか、膝を立てて腰を浮かせるかなど細かく観察することで、治療で用いる有効なツボを絞り込むことができる。もちろん、無理のない範囲で行ってもらうことが条件です。